フォトアルバム

お天気時計

REBORN!カードゲーム

2012年1月24日 (火)

『エリュシオン』第4巻/市東亮子

(1巻の感想はこちら、2巻の感想はこちら、そして3巻の感想はこちら

12月の下旬に出た4巻、やっと読みました♪

いやぁ、面白かった! そしていいとこで終わった!! 早く続き続き!!!(笑)

えーっと、トロイア戦争を背景に、女だけの国アマゾーン国の命運を描くこの物語。アマゾーン国に逃げてきた予知能力を持つ娘アルティモラ。異民族のアルティモラにも優しい、次期女王候補のペンテシレイア。

女王になるための修行で外国へ行っていたペンテシレイアの帰国が近づく中、アマゾーン国では「子作りの儀」が。

女だけの国、アマゾーン国。放っておいたら子どもはできない。だから一年に一度、「犠婦」と呼ばれる女達が他国へ行って男達と交わるのです。

今回鉄器で有名なヒッタイトへ出かけた犠婦達には、とある密命が……。

武勇に優れたアマゾーンの美女達が弓や剣を取って男達を蹴散らす場面はなかなか痛快。そしてこのヒッタイトでの戦いを機に、アルティモラが予知した「12人の戦士」のうちの2人、ポレムーサとハルモトエーの人生が変わる。

ポレムーサは出産を経験した女。純潔を重んじるアマゾーン国では、「犠婦」となった女は格が低く、参政権を奪われる。貴族であったものも一般市民となり、未来永劫役職にもつけない。たとえどんなに能力があっても。

国の存続のために、ある意味もっとも重要な仕事をしていると言ってもいいのに。

また、異民族のハルモトエーにも市民権はない。

アマゾーン国の未来のため、そのような硬直した制度を変えていこうとする現女王。反発する勢力は自分たちに都合のいい次期女王を選ぶため、神託を受ける巫女頭に干渉しようとする。

そして次の女王が選ばれる日、降りた神託は――。

ってとこで4巻終わっちゃうんだなぁ。ああ、もう、早く続き続き!(爆)

新しく「12人の戦士」であることが発覚したのは新たに一人。これで(確か)7人。

そしてアルティモラははっきりと「この先の悲劇」を予知してしまう。なんとかそうならないように未来を変えようとするアルティモラ。だけど…。

前にも書いたけど、果たして未来は変えられるのか、どんなことをしても、むしろその「あれこれやったこと」が「予知されたこと」を招いてしまうのではないか。「予知された未来」が「予知された」ことによって容易に変えられるのなら、それは本当に「予知した」と言えるのか。

一方で、変えられないなら「予知」など無意味ではないのか。

「ただ知るだけで何もできないのなら、なぜこんな能力を与えられるのか」とアルティモラも苦悩する。けれど神の答えは。

「神に“何故”を問うか…!?」

なんと理不尽なこの世界。

 

この先まだまだ長いと思われるけど、アルティモラの予知能力に何か少しでも希望がありますように。そのような力を持って生まれてきてしまったこと、アマゾーン国での出逢いを、哀しまずにすみますように――。

2012年1月23日 (月)

『特捜班ビクトール』『赤い数珠』/モーリス・ルブラン

ルパン全集22巻目『特捜班ビクトール』。

「特捜班のビクトールがついにルパンを逮捕した しかし―― アルセーヌ=ルパンを名乗ってしとめられた男の正体は? そしてビクトール刑事とははたして何者なのか? 謎につつまれた国防債権の盗難事件を発端としてくりひろげられる波瀾万丈の推理劇」

って、カバー見返し部(だと思う。図書館の本なので文章部分だけが切り取られて貼られてるんだけど)に書いてある。これ、すんごいネタバレだよね。こんなふうに書いてあったら「つまりビクトールがルパンなわけね」ってバレバレやん(笑)。

しかも「ついにルパンを逮捕した」って、逮捕するの本当に最後なんだよ。本文300ページ中280ページとかその辺。

それが表紙開けたらいきなり「ルパンを逮捕」ってあんた。

まぁもちろんそれがわかっていても楽しめるのがルパン。楽しませてくれるのがルブラン。

ビクトールは、「一筋縄ではいかぬつむじまがりの老刑事で、〈気の向いた〉ときだけ、それも道楽はんぶんで仕事をするというので、そのふうがわりな仕事ぶりや天邪鬼な態度が、なんども新聞紙上で指摘されたものだ」と紹介されて登場する。

そしてふらりと入った映画館で鹿の子色の髪の美人に目を奪われる。

もうこの、「すぐ美人に惹かれて後をつけようとする」ところで「実はルパン」を白状してるようなもんですが(笑)。

とある男が「泥棒!その女をつかまえてくれ!」と叫んだことで、ビクトールは美人の尾行を諦め、泥棒とそれを追いかける男の方に注意を振り向ける。それがビクトールが「国防債盗難事件」に関わるきっかけで――。

この盗難事件自体、二転三転、しかもアリバイ崩しがおフランスというかちょっと赤面な感じで面白いのだけど、そこに見え隠れする例の「鹿の子色の髪の美人」。実は彼女はアルセーヌ=ルパンの愛人らしいということで、ビクトールは変装して彼女に近づいていく。

「絶対ルパンを捕まえてやるぞ!」というビクトール。いやいやいや、ルパンはあんただよね?と思いながらもその絶妙な描写に「やっぱり違うの?」と思わされたり。

変装のうまさも、その態度と言葉で一瞬にして人を支配下に置くその“カリスマ性”も、「あなたこそルパン!」なんだけども。

最後の最後、ついに真相が明らかになるところでは「やっと来たーっ!」というカタルシスが。

「ルパンの愛人」と噂されていた美人さんは見事「本物のルパン」といい感じになるし、最終ページのオチがまたね。おフランスですわ~。

しかし「特捜班」ってなってるけど、ビクトールはどう見ても一人なんだよね。チームでは動いてない。刑事らしからぬビクトールのやり方に協力してくれるラルモナ刑事はいるけど、「班」というイメージではない。

「右京さん一人でも特命係」みたいなもんなのかしら(笑)。

当時のパリの警察機構はたびたび変わったみたいだし、外国の部署・役職名を日本語に置き換えるのはなかなか難しいのでしょうね。

『ジェリコ公爵』に続いてルパンが登場しないルパン全集『赤い数珠』。

お話自体は面白かったけど、やっぱり「ルパン全集」だけにルパンの登場を期待してしまう。「もしかしてこの好色なおっさんがルパン!?」とか思いながら読んでしまったぢゃないか…。途中から「あー、これはもしかして出てこないパターンか」って諦めて純粋に謎解きを楽しみましたが。

この「ルパン全集」にはルパンが出てこない「別巻」が5巻あるから、『ジェリコ公爵』と『赤い数珠』も別巻扱いにすればいいのに。

他社でも「ルパンシリーズ」ということで出版されているようで、日本に紹介された時からこの2作は「ルパン物に含める」という伝統になっているのかもしれない。うーん。それってどうなの。

さて。

狩猟解禁に合わせドルサック伯爵の屋敷に集まった招待客たち。そのうちの一人、美しい人妻クリスチアーヌに伯爵は夢中。もちろん伯爵は既婚者で、客のもてなしは妻であるリュシアンヌが仕切っている。

その夜、川をライトアップするという余興を見物に行った客達が戻ってみると、伯爵の金庫から株券が盗み出され、一人館に残っていたリュシアンヌが殺されていた。手にした数珠は赤い血にまみれて――。

というわけでタイトルが『赤い数珠』。

翌朝駆けつけた予審判事ルースラン氏の捜査方法というのがなかなか変わっていて、彼は自分では捜査はしない。もちろん足跡があったかなかったか、など必要な情報は部下に集めさせるし、まったく推理しないわけではないんだけど、彼は「当事者達に真相を暴かせる」。

しかも痴情事件が好きで、「のんびり釣りができなくなるから昇進なんてごめんこうむる。わしの考える理想的な事件は“握りつぶせる事件”だ」な~んて言っちゃう。

「痴情事件では、尋問は最少限ですむ。ほんのわずか質問するだけで、憎しみ、怒り、復讐など、ありとあらゆる本能や感情のからくりがひとりでに動き出す。あとは耳を貸すだけでいいんだ。(中略)自分で自分の尋問役を買って出て、当人には意外であっても、ひとりでに不明な点があきらかになり、たがいに相手をかばいあい、自分を守るすべも知らん役者なのさ」 (P107)

なるほどねー。

そして今回の事件にも色恋沙汰が絡んでいる。そう、美しい人妻クリスチアーヌに熱を上げている館の当主ドルサック伯爵。彼にはもちろんクリスチアーヌの夫が邪魔だし、自分の妻リュシアンヌだって……。

「まぁ、考えてもみたまえ、この目の前の人たちは、われわれにとって、まったくの赤の他人だ。とつぜん、われわれの前にあらわれでたというのに、こっちは無実かどうか見きわめなくちゃならん。行為の動機を見つけださにゃならんのだ。おまけに、われわれには、この人たちの心理状態も、趣味も、習慣も、過去も、遺伝的な性格も、なにもかもわかりゃしないときた」 (P120)

一目で相手の職業や家族構成などなどを見抜いてしまうホームズならいざ知らず、普通の人間には確かに当事者達の人間関係を把握するだけでも大変だよね。

「さよう、ふつうはべつべつに尋問して、そのあいだのくいちがいを見つけようとする……ところが、わしときたら、たがいに直接ぶつかりあってくれるのが好きなんだよ。みんな考える時間がないだけに、かえって、真相の光を容易にほとばしりだすものさ」 (P121)

もちろんルースラン氏の質問は的確で、うまくみんなを誘導していくわけだけども、結果的に真相を暴くのはクリスチアーヌで、そこに至るまでの当事者たちの嘘、その翻し、秘密の開示、なんとも見事に「勝手に事件が解決していく」。

この作品はルブラン70歳の時のものだそうですが……いやぁ、ルブランさんホントすごいなぁ。手に汗握る冒険物だけでなく、こんな一風変わったミステリまで。

もっとも、美女が鍵なのはルパン物と共通。これはルブランさんの好みというより「フランスだから」なのかしら???

ドルサックがクリスチアーヌにつきまとって、あげくソファに押し倒すシーンなんかもう超セクハラっちゅうかエロ親父のストーカーで、読んでてうぇぇってなっちゃったよ。

あまりのことに困惑してクリスチアーヌが瞬間抵抗をやめてしまったのを見て「ほら、やっぱりおまえにもその気があるんじゃないか!」とかホントに、男ってなんでそう自分に都合良く考えるかな。

しかもルースランまで最後、「あの女はあの男を愛していた」なんて言うんだよ。いくら憎しみと愛が表裏一体の感情だとしたって、それはないんじゃないのぉ。

そこ以外は面白く読めました。章立てが「プロローグ」「夜」「朝」「午後」「エピローグ」と実にシンプルなのもいい。

 

いよいよルパン全集もあと2冊! ちゃんとルパン出てくるよね?(笑)

2012年1月20日 (金)

『平清盛』を機に『双調平家物語』を読み返そう

大河ドラマ『平清盛』が始まりましたね。

ほんと言うと始まる前に読み返そうと思ってたんですが、ルパン全集にかまけていて全然読めてません。

2007年10月に最終刊が出て、2008年2月に読み終わったあと、「もう一度最初から読みたい」と思って読み始めたものの、3巻ぐらいまで行ったところで他の本に浮気してそのまま中断。

今度こそ最後まで読み通すぞ!!!

大河見てあの時代に興味を持った方にもぜひ読んでいただきたいなー、と思うのですが、中央公論新社は便乗フェアとかやらないのかしら。全15巻、しかも1巻が中国の話ということでまぁなかなか推しづらいのかもしれない(^^;)

そう、『平家物語』なんだけど、中国の話から始まっちゃうし、やっと日本の話だと思ったら大化の改新で、清盛はなかなか出て来ない。

「諸行無常の鐘の声」の普通の『平家物語』で、清盛は中国の逆賊・佞臣と並べられている。「でも清盛ってホントにそんなに悪い奴だったの?そもそも日本の“体制側”、清盛が逆らったとされる“国家側”ってどんなものだったの?」というわけで、まず「中国の悪い奴はこんな感じ」という話が来て、「日本の国家はこんな感じ」で大化の改新から延々説き起こされるのです。

その辺のことは別blogの方で記事にしています。

『双調平家物語』/橋本治

最終15巻まで読み終わった時の記事↓

『双調平家物語』完結!

『双調平家物語』最終巻/橋本治

そしてもう一つ関連記事として

『双調平家物語』が毎日出版文化賞を受賞!

こんだけ書いてまだ足りないのか、って感じですが(^^;)

こんだけ書いてるのに何巻から清盛が出てくるのかもわからないし(笑)。

というわけでちゃんと読み返す前に各巻の内容をざっとおさらいしてみようかと。

【1巻・序の巻、栄華の巻Ⅰ】

 序の巻:中国の話です。玄宗皇帝、楊貴妃、安禄山。「は?平家物語でしょ?」と意表をつかれるけどこれがまた大変面白い。

 栄花の巻:藤原氏の祖は鎌足公、鎌足公と言えば大化の改新、大化の改新といえば蘇我入鹿が討たれる、というわけでその父の蘇我蝦夷の話から。

【2巻・栄花の巻Ⅰ】

 蝦夷の父の馬子まで遡り、蘇我氏が物部氏に勝って権勢を握る話が語られ、舒明天皇亡き後なぜ蝦夷はその后・皇極天皇を立てたのか、そして蝦夷の息子入鹿が父に反発、勝手な行動をして墓穴を掘る。
 あげく中大兄皇子と鎌足に討たれ、大化の改新
 しかし中大兄皇子はすぐには即位しない。
 蘇我入鹿誅戮から二十数年、やっと中大兄皇子は天智天皇になるのだった。

【3巻・栄花の巻Ⅱ】

 天智天皇の弟である大海人皇子と天智天皇の子ども大友皇子が争って世に言う壬申の乱
 勝ったのは大海人皇子、即位して天武天皇となる。
 そして天武天皇崩御の折り、まだ世継ぎである草壁皇子が幼かったので天武天皇の后で天智天皇の皇女である持統天皇が即位。
 天武天皇の「皇子」は大津皇子とか高市皇子とか他にもいっぱいいたのでわざわざ女帝が立つ必要はなかったのだけど、自分の息子が可愛い持統天皇は「草壁が位を継ぐのよ!決まってるじゃない!!!」と他を蹴落としてしまうのだな。
 そして愛する息子のために「律令国家」を整えるのだ。
 持統天皇は大変「できる」人ではあったのだけど、子どもかわいさのあまり「国の形」を歪めてしまう。
 草壁皇子は早世し、その皇子である文武を位に就けて、持統天皇は「上皇」として国を治める。
 「実権を持たぬ年若い天皇」を外祖父藤原氏が補佐するという後の「摂関政治」、そして「上皇」が朝廷とは別に力を持ってしまう「院政」の芽は、早や持統天皇の御代に生まれていたのだ。

【4巻・栄花の巻Ⅲ】

 持統天皇が苦労して即位させた孫、文武天皇も早世。文武天皇の皇子(後の聖武天皇)までの「つなぎ」として文武天皇の母(天智天皇の皇女であり持統天皇の異腹の妹)が元明天皇として即位。その後、文武天皇の姉の元正天皇を経て、やっと聖武天皇が御位に就く。
 女帝を認めるか云々で平成の世は悩んでいるわけですが、平安の世には皇位を継げる男皇子は他にいっぱいいた。いっぱいいたけど、持統天皇が「私の子どもでなくっちゃ!私の孫でなくっちゃ!」と自分の血にこだわって、ややこしいことにしてしまった。
 ただ持統天皇自身もそうだけど、この時代の「天皇の后」というのは一般人じゃなくて彼女自身も「皇女」で「天皇の血筋」だからまぁ、「万世一系的な「正統性」はあるわけです。
 持統天皇は大化の改新を成し遂げた天智天皇の娘ではあるし、その弟だった天武の血筋よりも「私を通じたお父様の血筋の方が上!」と持統天皇が思ったのも仕方ないかもしれない(思ったかどうか知らんが)。

 で。
 聖武天皇の后は藤原の娘である。
 皇女じゃない臣下の娘が初めて「后」になって、「天皇の外祖父藤原氏が摂政として実権を握る」の前提ができる。まだ前提だけで、聖武天皇の御代に藤原の力はそこまで大きくはならない。
 藤原の娘である光明皇后が生んだ内親王が「皇太子」になったのは、藤原の専横というよりも、光明皇后の心細さに依ったらしい。「皇太子の母」であるゆえに臣下の娘でも「皇后」になれた。だがその皇太子が早世し、後ろ盾となる藤原の兄たちも亡くなり、安心して「皇后」という地位にあるためには再び「皇太子の母」にならねばと。
 その時は光明皇后の腹ではない親王もいた。しかし他の候補は一人また一人と消えていき、結局そのまま内親王が御位に就くことになる。孝謙天皇である。

【5巻・父子の巻、保元の巻】

父子の巻:
 孝謙天皇がいったん譲位して大炊王が即位。藤原仲麻呂が孝謙帝の寵臣として権力を握り、ちょうどその頃中国では安禄山の乱が。1巻で述べられた「中国での逆賊」、それに刺激を受けたのかどうか、仲麻呂は背いた。御代の帝ではなく、すでに上皇となっていた孝謙帝に。
 仲麻呂は敗れ、帝は廃され、孝謙天皇が重祚。
 道鏡との醜聞を経て、史上唯一女の身で「皇太子」となった帝は51歳で世を去る。
 皇太子が定められていなかったため、貴族達の会議によって選ばれたのは天智天皇の皇子芝基親王の血筋の白壁王(光仁天皇)。
 白壁王の后は孝謙帝とは異腹の姉妹(つまり聖武天皇の皇女)。この井上皇后が謀反の罪で逐われ、その後都には次々と「祟り」が起こる。
 井上皇后腹ではない光仁天皇の皇子山部親王が桓武天皇となって、祟りの続出する奈良の都は廃され、長岡京へと遷都。しかしそこでもまた「祟り」は続き、山城の平安京へと再度都が遷された。
 平安の都で藤原北家は隆盛する。桓武天皇の孫にあたる仁明天皇の后順子が国母となって後、15代もの天皇が藤原北家の娘の腹から生まれる。
 桓武帝は第50代の天皇。我が世の春を謳歌した藤原道長が長女を贈った一条天皇は第66代。四女が嫁いだのが69代の後朱雀天皇で、そこから生まれたのが70代の後冷泉帝。

保元の巻:
 71代後三条天皇は、後朱雀天皇の皇子。しかしその母は藤原氏の女ではなく、三条天皇の皇女。この皇女の母親は道長の次女だから後三条天皇の祖母は藤原の娘なんだけれども、母は内親王。
 それゆえ摂関家の専横を彼は肌で感じていた。内親王腹の東宮であった彼は不遇だったのだから。
 そしてその後三条天皇の皇子貞仁親王こそ後の白河院(大河では伊東四朗さん♪)である。

【6巻・保元の巻】

 白河帝に譲位した後三条帝は、白河帝にとっては異腹の弟である親王を東宮に、そしてその次にはまたその弟宮を、と言い残して亡くなる。
 しかし白河帝は自分の愛する女から生まれた皇子を帝位につける。わずか8歳の幼帝堀河帝。それ以前なら外祖父たる藤原家の男が摂政関白として補佐、実権を握るところ、関白藤原師長は何の力も持てない。権力は天皇の父であり上皇となった白河のもとに。
 摂関家藤原氏は没落への一歩を踏み出し、白河院の御所に武者たる源惟清が昇殿を許される。大河では松田聖子さんが演じている祇園女御はもともとこの惟清の妻だった。『双調平家物語』ではこの祇園女御の妹が清盛の生母とされている。
 そして語られる清和源氏の嫡流、源頼朝の祖源義家の不運。
 白河院の登場によって権力を殺がれた藤原氏、道長の孫である師実、さらにその孫である忠実(大河では國村隼さん)が登場する。

……はぁぁぁ。内容が濃すぎて「ぱらぱら」っとめくっただけなのに疲れた……。

確か孝謙帝のところまで読み返したし、ちょうど白河院出てくるから5巻の「保元の巻」から続きを読み返すことにいたします。

またそのうちしつこく感想書くかも(^^;)

2012年1月12日 (木)

『白痴』/坂口安吾

アニメ『UN-GO』から始まったちょっとしたマイブーム、坂口安吾。とりあえず推理ものだけ読んでみようと思ってたんだけど、有名どころもちょっとかじってみようかと青空文庫で『白痴』をダウンロード。(Webで読みたい方はこちら

IS03の画面で99ページ。『安吾捕物帖』の長いエピソードよりも短いお話です。

まったく何の予備知識もなく読み始めたので、「え、こんなに戦争の話だったんだ!」とびっくり。

主人公は新聞記者を経て文化映画の演出家になった(まだ見習いらしい)伊沢という青年。27歳。舞台は戦時中の東京で、空襲で焼け出され、逃げていくところがクライマックス。

最初の人物相関図(というか近所の人の紹介みたいな)部分をめんどくさいなーと思いつつ読んでたらいきなりけっこう激しい戦争批判、お上におもねる会社の上司への怒りの吐露になって。

“事実時代というものは只それだけの浅薄愚劣なものでもあり、日本二千年の歴史を覆すこの戦争と敗北が果して人間の真実に何の関係があったであろうか。最も内省の稀薄な意志と衆愚の妄動だけによって一国の運命が動いている。部長だの社長の前で個性だの独創だのと言い出すと顔をそむけて馬鹿な奴だという言外の表示を見せて、兵隊さんよ有難う、ああ日の丸の感激、思わず目頭が熱くなり、OK、新聞記者とはそれだけで、事実、時代そのものがそれだけだ。”

伊沢は「芸術」を目指している。「芸術」が上司や世の中に認められないことに憤り、一方で諦め情熱を失い、200円の給料のために「こんな会社とっとと辞めてやる!」の一言が言えない自分に悶々としている。

…なんか身につまされるわ…。

そんな伊沢のところに近所の白痴の女が転がり込んできて、伊沢は彼女と同居を始める。彼女を泊めたことを、かくまっていることを知られまいと想いながら、そんなふうに「世間体」を気にする自分にまたしても悶々。

“怖れているのはただ世間の見栄だけだ。その世間とはアパートの淫売婦だの妾だの姙娠した挺身隊だの家鴨のような鼻にかかった声をだして喚いているオカミサン達の行列会議だけのことだ。そのほかに世間などはどこにもありはしないのに、そのくせこの分りきった事実を俺は全然信じていない。”

……うん、わかるよ……。

理知とか「精神」というものが感じられず、ただ「肉体」として、「生き物」として存在しているように見える彼女。

空襲の夜、伊沢は彼女の姿を他の住人に見られないよう、最後に路地を出る。

置き去りにすることもできるのに、伊沢は彼女を連れて逃げる。

それは愛情というのとはちょっと違う……でもやっぱり愛情かもしれない。途中で、普段はろくな反応を返さない彼女が「こくん」とうなずいたことに狂いそうなほど感動している。

たぶん、伊沢は女に勝手に「何か」を見て、勝手に感動しているんだけど、まぁいわゆる「恋愛」というものも勝手に勘違いして感動しているんだろうし、「何を考えているのかわからない、そもそも何も考えていないように見える」白痴の女じゃなくても、自分ではない他の人間が「何を考えているか」なんてわかるものじゃない。

「明日の希望がないから女を捨てるだけの張り合いもない」なんて伊沢は言うのだけど、それも言い訳ぽいよね。

この白痴の女を捨てて明日はもっといい女を、もっといい暮らしを、という「明日の希望」は確かにないんだろう。空襲で焼け出されて、どこもかしこも廃墟で、日本が戦争に勝つとも思えない、自分も生き延びられるのかわからない、今さら「世間体」を気にして何になるのか、という気分。

と同時に、きっと、女を捨てたら、いっそうなんだかよくわからなくなるんじゃないか。その、自分が生きてるってことが。

……まぁ、読んでる時はなんか「ほわぁ」という感動だけで、「嗚呼…」って慨嘆のため息が出るだけで。

短いお話だし、あまりごちゃごちゃ分析しても野暮だよね。

昭和21年6月発行の雑誌に載った『白痴』。終戦からまだ1年経ってない。当時の読者にとってはもっともっと生々しく感じられたんだろうな…。

2012年1月 9日 (月)

『バール・イ・ヴァ荘』『二つの微笑をもつ女』/モーリス・ルブラン

ルパン全集もいよいよ20巻目。まさかのみたびベシュ登場です!

『バーネット探偵社』でルパン扮するジム=バーネットにいいように遊ばれていたベシュ刑事、『謎の家』でも活躍(?)し、さらにこの『バール・イ・ヴァ荘』でも。

全集19巻の『ジェリコ公爵』は実はルパン作品ではないから、ベシュ刑事は3作連続で登場しているんですね。ルブランはよほどこのキャラクターが気に入っていたのでしょうか。

『謎の家』から2年も経っていない、という設定。

ジム=バーネットでもなくジャン=デンヌリでもなく、ラウール=ダブナックと名乗っているルパンのもとに謎の美女カトリーヌが訪ねてくる。と同時にベシュから電話がかかってきて、最初ルパンは「あんたのことなんか知らない」と言うのだけど、ベシュの方は「おまえがルパンだってことはわかってるんだ」と答えるのみならず、なぜかベシュはルパンのアパルトマンの鍵まで持っている!

そのベシュの鍵をこっそり盗んで、カトリーヌはルパン=ラウールの部屋を訪れたのですね。

『謎の家』事件の後ルパンとベシュは会っていなかったようなのに、変名や居場所を知っているのみならず鍵持ってるってどーゆーこと? ベシュ、ルパンのストーカー!?(笑)

「夜中にいきなり美人が部屋の中にいる」という演出のためにベシュが鍵を持たざるをえなかったのかな、と思いますが、ともあれ今回もどんどんサクサクと読み進んじゃいました♪

カトリーヌとその姉ベルトランドが祖父から相続したバール・イ・ヴァ荘。

敷地内の三本のヤナギがなぜか植え替えられていたり、かつて屋敷で働いていた婆さんに「殺されるよ」と警告されたり、怖くなってカトリーヌがルパンのもとを訪れたあと、ベルトランドの夫が殺され、たまたまその地に滞在していたベシュとともにルパンが謎解きにとりかかる。

祖父の遺した遺産をめぐる陰謀、そしてその「遺産」の正体は――。

もちろんルパンは美人のカトリーヌに惚れ、その姉のベルトランドにも惚れ、そしてもちろん美人姉妹二人の方もルパンに心を奪われてしまい。

実の姉妹と三角関係とかどーすんの、ルパン。どーもしないで二人とも好き♪三人で楽しく過ごそう♪などと思っていたルパンは事件解決後、あっさり二人に去られてしまいます。「あなたがどっちも選べないなら、私たちはあなたのもとを去るしかありません」。

二兎を追う者は一兎をも得ず。

日本には君にぴったりなことわざがあるよ、ルパン。

「でも、ほんとうに人を愛するというのは、そういうものではありません…(中略)わたしたちは、虚勢も嫉妬心もなしに、あなたの決断を待っていた。でも、いまでは、決断なんてないことを、わたしたちは知っています。あなたはいつまでも、わたしたちを同じように愛することでしょう。だから、わたしたちの決断をお伝えしにきたんです。あなたのほうが決断をくだすことができなかったんですから」 (P289)

女はそれを我慢できないんだよ。「二人とも同じくらい愛してる」なんていう、たぶん男にとっては変でもなんでもないことを。

「わたしを愛してくださるなら、ベルトランドより愛してくれなくてはいけないのに、そうではないんですから」 (P290)

「愛」っていうのは厄介なものだね。たった一人、自分だけをと望む。

まぁ男も最近はそれを我慢できなくて恋人のケータイから男性のメルアドを勝手に全部消すとかやっちゃうみたいだけど、でも相手にはそれを要求しながら自分は別に一途じゃないようなところが男にはありませんか…? どっちもどっちなのかな。

ともあれ二人に去られ、ベシュに八つ当たりするルパン。自業自得やーん(笑) 可哀想なベシュ。

でもこんなラスト、たまにはいいです。ルブランさんホントうまい。

ボートは音もなく川面をすべった。こまかく動くオールから、水滴が落ち、涼しげなささやきを奏でている。星空からぼんやりした光がそそがれていたが、地上の霧のあいだから、いつのまにか月がのぼって、すこしずつ明るさをましていた。 (P191)

トリックや冒険だけでなく、ルブランさんってこういう描写もうまくて素敵なのよね♪

ベシュのルパンに対する複雑な、反発しながらも惹かれているところとか。

「そして、きみが登場するわけか!」と、ベシュが、ラウールに話しかけるときにときどきみせる、絶対的といってよいほどの感嘆の口調でつぶやいた。 (P277)

ベシュとルパンのこんなやりとりも。

ベシュ「ほかになにが必要だったというんだ?」
ルパン「たいしたものじゃないけどね」
ベシュ「いったい、なんだ?」
ルパン「天才さ」
 (p285)

だから好きよ、ルパン♪

うーん、こちらはそれほど面白くなかったなぁ。

『ルパン』全集ずっと読んできて、初めて「読むのめんどくさい」と途中で思った(笑)。

それは図書館への返却期限が迫ってたこともあるし、最初に後ろの解説読んじゃってネタバレしてたこともあるし、またしてもルパンが女に惚れて仕事するだけだったこともある。

なぜその女が『二つの微笑をもつ』なのか、それも「え、これって実は二人いるってことなんじゃ?」と早い段階で推理できちゃったし。

ラウールことルパンのもとに突然現れた金髪の娘アントニーヌ。上の階の侯爵に用事があったのに、間違えて中二階のルパンの呼び鈴を押してしまった。愛くるしいその微笑に一発で惚れ込んじゃったルパン。

一方彼女を大泥棒グラン=ポールの愛人クララだと思って駅からつけてきたゴルジュレ刑事。もちろんルパンは彼女をゴルジュレの手から救ってあげる。

もともとルパンは侯爵の「失われた遺産」を調べるために中二階を借りていて、アントニーヌと侯爵の関係も気になるし夜中に侯爵の部屋へ忍び込む。そるとそこになんと当のアントニーヌも忍び込んできて――!

グラン=ポールの方も逃げた愛人クララを追っていて、そのグラン=ポールとクララをゴルジュレが追い、ルパンはクララ(アントニーヌ)にご執心。なので自然ルパンとゴルジュレも追いつ追われつ。侯爵の絡む15年前の「殺人事件」を背景に攻守入れ替わり立ち替わりの追跡劇。

最初にルパンの部屋に現れたアントニーヌの生き生きとした明るい微笑、クララの少し愁いを帯びた微笑。ゴルジュレもグラン=ポールも、そしてルパンもその二人を同一人物だと思ってるから、「二つの微笑をもつ謎めいた女」になってしまうんだけど。

別の女の子が二人いるんだよ、もちろん。

ルパンともあろう者が、そんな簡単なことに気がつかないなんて。

女の子の微笑に目がくらんでっからだよ!!!

ルパンはクララの方と長く過ごし、クララももちろんルパンに一目惚れしちゃってる。そして実はアントニーヌの方もルパンのことを……。どんだけモテるんですかねー、ほんま。

でもひどいんだよ、ルパン。最終的にルパンはクララと一緒にいるのに、「クララを愛するのはあなた(アントニーヌ)を愛しているからです」って。

それをわかっていたからこそクララはアントニーヌのふりをしたんだよね。同じ娘だと思わせようと。

最後までクララは「恋敵」アントニーヌのことを気にしているのに、ルパンは心の内で「アントニーヌ!アントニーヌ!」って。

いい加減この惚れっぽい浮気男には愛想が尽きました(笑)。

まぁいよいよあと4冊なんですけどね。愛想が尽きなくても終わっちゃうのだわ……。

解説でネタバレしちゃった殺人事件の真相、これはでもけっこう秀逸だよね。意外性というか、「そんなのあり?」というか。こういうネタも使っちゃうルブランさんはやっぱりさすが。

皆さんはぜひ解説を読まずにお楽しみください。

2012年1月 8日 (日)

『秘密』10巻/清水玲子

ああ、なんというかねぇ。キツいですねぇ、ホントに。

読むのがいっそうしんどくなってきました。

最初から薪さんに幸せな未来はないだろうと思ってはいたけど、最後のページのあれ、途中での青木の「ここで気づいてれば薪さんを止められたかもしれない、あんなことになる前に」の独白。

暗い。

暗すぎる(´Д`)

最初の頃の「せつなさ」がただ「キツさ」になってるんだもん。そしてちょっと読みにくいの。回想とか夢とかごちゃごちゃで。

長いし。

薪さんの脳に刻まれた「秘密」。薪さんだけでなく、それぞれの脳に刻まれたたくさんの「秘密」。

ごく個人的な秘密であってさえ、死後に勝手に覗かれるのはたとえ犯罪捜査のためでも嬉しくはない。

そしてそれが国家機密に関わることになれば、ただの「口封じ」ではなく、「脳」そのものを破壊しなければ隠蔽できなくなってしまった「MRI」のある世界。

薪さんは脳を撃ち抜いて自殺するんでなければもう、精神崩壊して赤ちゃんみたいになって青木と雪子さんに一生面倒見てもらうのが一番幸せな未来のような気がする……。

雪子さん、ずっと嫌いだったんだけど、今も決して好きではないけど、今回の「ずっとあの二人の中に入りたかった。一緒に戦いたかった」っていうくだりはじーんときた。

すごくわかる。

男同士の「相棒」の絆の中に、女はどうしたって入っていけないから。

……しかし薪さんの鈴木や青木に対する想いは恋愛なのかね。雪子さんのセリフだとそう読めるけど……。まぁ薪さんが女性に恋するっていうのもちょっと想像できないのは確かだけれども。

それにしても今回も青木は馬鹿でむかつく!!!!!

そりゃ姉夫婦を惨殺されて、それを第一発見者として見てしまって、おそらくその原因は自分が第九にいることだってわかってる以上、青木もいっぱいいっぱいだろうけど。

でも薪さんのがもっとキツいんだよ、いつまでも薪さんに縋ってんじゃねぇや、このへたれ!

やっぱり薪さんを守れるのは岡部さんしかいないわ(こればっかり)。

さてどのような想像を絶する悲劇が待っているのか……もう次の巻ですぱっと終わってくれていいですよ、玲子さん。読むの精神的にしんどいです(>_<)

(でもまだまだ終わりそうじゃないよね、この話)

【関連記事】

『秘密』と“私の眼に映る世界”

清水玲子さんの『秘密』アニメ化!

アニメ『秘密』、関西では見られないのか?

『秘密』5巻/清水玲子

『秘密』6巻/清水玲子

『秘密』7巻/清水玲子

『秘密』8巻/清水玲子

『秘密』9巻/清水玲子

『家庭教師ヒットマンREBORN!』37巻/天野明

いやー、面白かった!

36巻の感想でも書いたけど、オールスター総出演、やっぱり楽しい♪

しかもアルコバレーノの代理戦争ということでオールスターでのバトルロワイヤル。守護者同士の戦い、親子の戦い、これはもう禁じ手と言っても過言ではないのでは(笑)。

まぁアルコバレーノの秘密が全部暴かれちゃったら『REBORN!』も終わりかな~とは思うし、最後に全員集合でお祭り騒ぎ♪ってことなのかな。読者も「これが見たかった!」だしね。

白蘭が出てくるのは想定内だったけど、10年前の真6弔花が出てくるとは思ってなかったから「おおっ!」と思った。

正直真6弔花はみんな嫌いだったんだけど、でも「おまえらもか!」とついテンション上がる。そりゃちびフランが登場するくらいなんだから、ちびブルーベルとか出てきてもおかしくないよね。私は嫌いだけど、好きな人もきっと多いのだろうし。

そしてユニ。

10年後で悲劇の結末を(ガンマと一緒だったから必ずしも悲劇じゃなかったのかな…)迎えてしまったユニ。あれで本当におしまいだったら可哀想だと思ってた。

でも、復活のユニ、10年後のままだよね。

10年後の年齢ってちゃんと出て来たのかどうか覚えてないけど、まだ10代前半ぽかったでしょ。ツナ達と同じくらい。ってことは10年前はまだ幼児のはずなのにそのまま、もちろん記憶も、「あの未来を生きた上での」再登場になってるみたいで。

ガンマとの年の差が縮まって良かったね、ユニちゃん(そこか(笑))。

アルコバレーノのリーダーたる大空のおしゃぶりの持ち主なんだから、時空を飛んでもおかしくはないけど。

アルコバレーノの秘密、そもそもトリニセッテの秘密。ユニが白蘭を代理に選んだのも、マーレリングのことがあるからかな?

10年前の「川平のおじさん」にも期待してるんだけど……出てくるよね? 出てこなくっちゃ嫌よ。

続きがとーっても楽しみじゃ♪

2012年1月 5日 (木)

実写版『妖怪人間ベム』、いいドラマだったなぁ(今頃)

こないだの土曜日、クリスマスイブの夜に実写版『妖怪人間ベム』最終回があって。

って書いてから、10日ぐらい経っちゃいました(汗)。

だって年末に入っちゃったんだもーん。お正月になっちゃったんだもーん(>_<)

ものすごい今更感ですが、せっかくなので続き書きます。

感動の最終回の翌日、サントラが届きました。

Dsc_0307s

なんとCDプレゼントに当選♪

どうせ当たらないだろうと思って応募したことなんか忘れていたんだけど、出してみるもんだなぁ。

2011年の運の使い納め?(笑)

こういうプレゼント、ほとんど当たったことないんだけど、だいぶ前に日経パソコンのプレゼントで実はベロ君フィギュアを当てたことがあり。

Dsc_0311s

もしかして妖怪人間とは相性がいいのかしらん。ドラマのDVDも応募しといたけどもしかしてこれも当たる!?(ないない)

なんで日経パソコンでベロ君が当たるか不思議だと思いますが、アニメのDVD発売か何かで……。あ、日経パソコンじゃなくてWinPCだったかもしれない。

それはそうと、ドラマを見ていてその音楽もいいなぁと思っていたので、思いがけずサントラを手にできて嬉しい♪

あの独特の音、ノコギリの音だったのですねぇ。「悲しみ1」や「異形の愛1」で奏でられるなんともいえないせつなさ、ノコギリの音がこんなに美しいなんて……。

一転「逃げる」や「妖怪人間ベムのテーマ」ではJazzyな雰囲気、とても格好いい。

作曲者でありノコギリ演奏者であるサキタハジメさん、ベムの音楽を依頼された時にある音が降りてきて、全曲揃った後で実はそれがアニメ版ベムのテーマの一節だと気づかれたそうで。

「こんなんがあるから、音楽はたまらなくオモシロい!!」

いや、それってほとんどこじつけでは(^^;)

でもそーゆーこじつけ、好きです。そこに必然を感じ取れる人♪

 

で。

実写版『妖怪人間ベム』。前にも書きましたが、予想を覆すいい出来でしたねぇ。

柄本明扮する「謎の男」は博士本人ではなく、ベム達から分かれた「悪」の意識。

「悪」というか、あれは「欲」だったのかな。博士が研究半ばで突然死んでしまった時、「生まれたい。生きたい!」という「欲」がベム達の原細胞から分離して、博士の体の中に入った。

「生きたい」という「欲望」は、決して悪いものではないのに、彼は「悪」で、残ったベム達は「善」だけを持っていた。

「人間になりたい」という「欲」をベム達も持っていたけど、「強烈さ」「他を押しのけてまで我欲を通す」という意味では、ずっと弱い「欲」だったのかな。

人間は善悪二つを併せ持つものだから、「善」だけのベム達は決して人間にはなれない。「悪」である彼を受け入れ、一つにならなければ……。

「悪」の細胞(?)が溶け込んだ涙が皮膚を人間化させる、という演出から「そーゆーことなのかな」と思ってはいたけど、「悪がないと人間になれない」って、それを人間である私たちが描いてしまうって、考えたら人間ってすごいよね。

私たちの中には「悪」もある。でも――、っていう。

でも乗り越えていこうとするのが人間だ、みたいなことをベムが言ってたっけ。

体を張って人間達を守っても、「化け物!」と忌避される彼ら。

コンサート会場での変身、哀しかったなぁ。

「それでも投げ出さないでくれ、人間であることを」

彼らに守ってもらう資格なんて、ないのに……。

「いつまでも、そばにいますから」

結局ベム達は人間になることより、「今のまま」でいることを選ぶ。

「善」だけの彼らは、「悪」をその身に受け入れることができなくて。

……っていうか、彼らは「彼ら自身」であることを選択したんだよね。そもそも彼らの本当の願いは「人間になりたい」じゃなくて「人間に受け入れられたい」だったんだろうし。

もちろん妖怪の姿は嫌いだったかもしれないし、妖怪人間のままだと親しくなった人間達が老いて死んでいくのを何度も何度も繰り返し看取らなくちゃならないけど、でも「人間社会」に受け入れられるというのが何より強い願いだったろうと。

「あるがままの自分を受け入れてほしい」

それって誰もが持つ願いだろう。

何かになりたい、変わりたい、今の自分は嫌だ。でも、今のダメな自分をそのまま受け入れてもらえるなら……。

向上心が全然ないのもマズいけれども、「今の自分ではない別の何か」にならなければ愛してもらえないっていうのはしんどい。

ベム達が最終的に「妖怪人間のまま人間たちを守る」という生き方を選択できたのは、「妖怪人間のまま」でも受け入れてくれた夏目さんがいたからだろう。

夏目さんやその家族。緒方家の人々との交流があったから、その暖かい記憶があるから、これからの永い永い、果てしなく続く未来を「妖怪人間」という異質な存在のまま生きていくことができるんだ。

そして。

3人いる、っていうのが大きいよね。

名前のない謎の男、「悪」の意識はひとりぼっちだった。世界にただ一人。仲間と呼べるはずの、兄弟であるはずのベム達は彼を受け入れてくれない。

彼が「人間とは悪を持つものだ」ということをベム達に知らしめようとしていたのは、「だから僕を嫌わないでくれ。僕を仲間に入れてくれ」っていう愛情表現だったはず。

誰に名前を呼ばれることもない、その存在を知るものすらない。

「私も人間になりたい。ちゃんとした存在になりたい」

可哀想だったよね……彼。

もしもベムも一人で、ベラやベロがいなかったら。たとえ「善」だけで悪いことなんてしようと思ってもできなかったとしても、ひたすら自分の存在に苦悩するだけで、自殺もできない本当に暗くてつらくて哀しい人生だったんじゃないか。

もしも一人だったら、「悪」を受け入れて人間になるという誘惑に負けていたかもしれない。

……それを「誘惑」と言っていいのか、人間になるのを「悪いこと」だと認識するのも変な話だとは思うけど。

勝手な人間は、彼らに彼らのままでいてほしいと思うの。「化け物」と怖れながらも、不老不死の肉体とその「善き心」に憧れるから。

 

「悪」の片割れを殺してしまったことで彼らは「人間になる」という夢は捨ててしまったわけだけれども……それでもいつか、「人間社会に受け入れられる」という希望は持っているはずだよね。

覚悟を決めても、やっぱり葛藤しながら、時に自分の存在を恨み、人間たちに愛想を尽かしながら、彼らは――。

完全に愛想尽かしされないように、人間もちゃんと生きていかないとな。

善だけではない。でも悪だけでもなれないもの。

「それでも投げ出さないでくれ、人間であることを」

2012年1月 4日 (水)

2012年お年賀

Capcaps

今年もよろしく
こいねがいたてまつりますぅ。

2011年12月31日 (土)

『水晶玉は嘘をつく?』/アラン・ブラッドリー

11歳の科学大好き探偵少女フレーヴィアシリーズ第3弾です♪

(1作目『パイは小さな秘密を運ぶ』の感想はこちら、2作目『人形遣いと絞首台』の感想はこちら

1950年のイギリスの、田舎が舞台。バックショー荘という大きなお屋敷に、父と二人の姉と住んでいるフレーヴィア。今作の解説に書いてあって初めてピンと来たんだけど、

“まだまだ階級差がはっきりしているこの時代、しかも英国の片田舎で、村の地主のお嬢様と言えば、世が世なら領主館の姫君なのですから”

あー、そうなんだ!

バックショー荘がでかくて、お父さん退役軍人でもう働いてなくて切手収集以外に何もやってなくても生活できてて、もともとはお金持ちなんだろうなぁ、というのは理解してたけど、フレーヴィアがまったく「お嬢様」という感じじゃないので、そういう発想がなかった(笑)。

フレーヴィア・ド・ルースって、「ド」がついてるもんねぇ。あれ、「ド」がつくと貴族っていうのはイギリスじゃなくてフランスだったっけ…?

ともあれ読んでると立派な(?)ご先祖様達の話も出てくるし、東棟、西棟、使われていない部屋がいっぱい、かつては女王陛下も泊まりに来たとか来ないとか、「領主様」なんだよねぇ。

ただ、1950年ということで第二次世界大戦が終わって5年、世の中も移ろってきたせいか、過去の遺産だけではやっていけないようで、ひたひたと財政難がバックショー荘にも迫ってきている。

これまでにもその片鱗はあったけど、今作でフレーヴィアもそれを実感しています。

と、そんな家庭の事情に行く前に。

今回の事件。

お祭りにやってきたジプシーの占いテント。そこでフレーヴィアは亡き母のことを当てられ動揺してろうそくをひっくり返し、テントを火事にしてしまう。

それでフレーヴィアは彼女を自分の家の敷地(屋敷からはけっこう離れている原っぱ的な場所)に招待する。ジプシーは幌馬車をキャンピングカーみたいにして生活しているんだけど、その幌馬車を敷地に停めてていいよ、と。

実は昔、フレーヴィアの母も同じように彼女たちジプシーをそこに住まわせていたんですね。でも母が亡くなって、父が追い出したと。

フレーヴィアのお母さんというのは、フレーヴィアを生んでまだ間もない頃にチベットだったかどこだったか、山へ行って死んじゃったんですね。産後すぐそんなことするお母さんってどんだけ行動的やねん、フレーヴィアはどう考えてもお母さん似だな、って思うけど、フレーヴィア自身には母親の記憶がほとんどない。

だからお母さんのこと言われると、トラウマというか、こう、必要以上に敏感になっちゃうんだよね。

2歳上と6歳上のお姉ちゃん2人はちゃんとお母さんのこと覚えてて、折に触れ「お母さんが死んだのはあんたのせいだ」「お母さんはあんたのこと嫌いだった」「あんたは妖精の取り替え子だ」とフレーヴィアをいじめるし。

何しろ記憶がないもんだから、フレーヴィアとしては「もしかしたら…」とつい思わざるを得ないわけで。

これまでもお母さん(ハリエット・ド・ルース)のことはお話の一つの軸だったけど、今回は特にそれが前面に出てきた気がします。

えーっと、それでジプシー(老女です)を敷地内に連れ帰ったところ、彼女が襲われて重傷を負い、もちろんその第1発見者はフレーヴィアで……。

持ち前の好奇心と科学的知識、そして大胆な行動力で捜査を始めるフレーヴィア。その前に現れるもう一つの死体(…って、ジプシーは死んでなかったんだけど)。

フレーヴィアの生意気さとか、人物関係・名前とかに慣れるまで多少とっつきにくいけど(年に1冊の刊行ペースなので前2作でわかっているはずの私もちょっと最初読みにくかった)、だんだん引き込まれて後半はハイペースで読了。

いつもながらフレーヴィアの捜査はあっちへ行ったりこっちへ行ったり、ばらばらな手がかりを繋げるのに苦労するんですけどねー。いや、それって11歳の少女に推理力で負けてるってことか(笑)。

事件の謎解き以上に、少しずつ明らかにされてくる母ハリエットの「記憶」、寡黙で厳しく、娘達にどう接していいかわからない不器用なお父さんとフレーヴィアの、少しずつ狭まる距離――そんな家族の謎解きにドキドキします。

お姉ちゃん達と完全に仲直りしちゃっても面白くないけど(笑)、でももうちょっとうまくやっていければいいと思うし、不器用なお父さんも、もう少し。

タブーのようになっているハリエットのことも、家族みんなで話せる日が来るといいな。

4作目『I Am Half-Sick Of Shadows』も刊行されているようですが、日本語訳はまた来年かな~。タイトルの意味すらわからん(笑)。「影の半病人」?

ちなみにこの『水晶玉は嘘をつく?』の原題は『A Red Herring Without Mustard』というのですよね。「辛子なしの燻製にしん」。巻頭にこの語句が出てくる文章が引用されているんだけど、お話の内容との関連はあんまりわかりませんでした、ははは。

ド・ルース家の財政難はどうなるのか……。創元社さん、なるべく早く翻訳刊行お願いしますね。

英語で読める方はこちら ↓

そしてフレーヴィアファンクラブはこちら♪(これも英語…全然わかりません(T_T))

blog内検索

  • powered by Google
Twitter

Amazonキャンペーン

eoblogのみなさま

Dears

ひゅうがの本棚

  • 橋本 治: 双調平家物語〈6〉保元の巻(承前)

    橋本 治: 双調平家物語〈6〉保元の巻(承前)
    読み返しています。白河院はなぜあのような暴君になってしまったのか?摂関家の専横により16歳まで親王宣下も受けられなかった不遇の皇子、やっと帝位についてみれば、父たる後三条帝は異腹の幼い弟達を「次の東宮に」と言い残す。父にまで「その先」を阻まれた白河帝は……。

  • 市東 亮子: エリュシオン―青宵廻廊― (4)

    市東 亮子: エリュシオン―青宵廻廊― (4)
    諸国へ修行に出ていた女王候補達が帰ってくる頃、アマゾーン国では神託を受ける巫女頭が衰弱し、後継選びに入っていた。誰よりも能力の高いアルティモラは異民族ゆえ候補には入れてもらえないが、彼女は怖ろしい予知を見、アルテミス神に“神に「何故」を問うな”と睨まれる。後継の巫女が次の女王を指名しようとした時、衰弱していた巫女頭が現れ、次期女王の名を告――! いやぁ、いいとこで終わってくれるわ、もう。早く続き続き!

  • モーリス=ルブラン: 赤い数珠 (アルセーヌ・ルパン全集23)

    モーリス=ルブラン: 赤い数珠 (アルセーヌ・ルパン全集23)
    面白かったけど…面白かったけど…ルパン出てこないよぉ!ルパ~ン!!! とある館で起こった盗難&殺人事件。駆けつけた予審判事ルースランは館にいた人間達を巧みに誘導し、当事者同士で謎のベールをはがさせていく。名探偵が推理するのではなく、当事者達が互いの利害のために嘘をついたりそれを覆したりで真相を明らかにしていく構造はなかなか読み応えがある。でも。でも。ルパ~ン!

  • モーリス=ルブラン: 特捜班ビクトール (アルセーヌ・ルパン全集 (22))

    モーリス=ルブラン: 特捜班ビクトール (アルセーヌ・ルパン全集 (22))
    変わり者の一匹狼の刑事ビクトール。映画館で見かけた美女、「泥棒!」と叫ぶ男。「国防債盗難事件」を鮮やかに解決する中、映画館の美女がアルセーヌ=ルパンの愛人だという情報が! ビクトールvsルパン、いや、ルパンvsルパンの対決は如何に!? …冒頭からビクトールの正体が予想できるとはいえ、二転三転する盗難事件の様相、おフランスなアリバイ崩し、どんどんページを繰らされます。面白かった♪

  • モーリス=ルブラン: 二つの微笑をもつ女 (アルセーヌ・ルパン全集 (21))

    モーリス=ルブラン: 二つの微笑をもつ女 (アルセーヌ・ルパン全集 (21))
    相変わらずルパンの女好き全開モテモテ全開でございます。さすがの私も堪忍袋の緒が切れます(笑)。なぜ二つの微笑なのか?ということの推測がわりと簡単についちゃうので、ドキドキ感はだいぶ薄いです。次の巻に期待。

  • 清水玲子: 秘密 -トップ・シークレット- 10

    清水玲子: 秘密 -トップ・シークレット- 10
    どんどん薪さんがキツくなってくる上に、最後のあれはどうゆう…。途中の青木のあれはどうゆう…。ずっと嫌いだった雪子センセを初めてちょっと可哀想だと思った。というか共感した。男同士の絆の中に入り込めない自分、一緒に戦えない自分。

  • 天野 明: 家庭教師ヒットマンREBORN! 37

    天野 明: 家庭教師ヒットマンREBORN! 37
    面白かった!継承式篇は何だったのかと思うほど面白いよ(笑)。オールスターキャストでのバトルロワイヤルなんて面白くないわけないけど。ある意味禁じ手というか「もうこれやったらREBORN!はやっぱり終了しちゃうんだよね、って感じ。まさかの10年前真6弔花登場とか盛り上がりすぎる。(真6弔花嫌いだけど) それにしてもユニは未来のままのユニだよね?ホントだったら10年前はまだ幼児のはずなのに…。「呪い」話と何か関係あるのかしら。

  • モーリス=ルブラン: バール・イ・ヴァ荘 (アルセーヌ・ルパン全集 (20))

    モーリス=ルブラン: バール・イ・ヴァ荘 (アルセーヌ・ルパン全集 (20))
    「二兎を追う者は一兎をも得ず」 美人姉妹双方を好きになって、双方から愛されて、どっちかを選べないルパンは結局どっちも失うのだ。馬鹿ねぇ~。八つ当たりされるベシュが可哀想。いや、しかし、三たび登場のベシュはいい味出してます。

  • モーリス=ルブラン: ジェリコ公爵 (アルセーヌ・ルパン全集 (19))

    モーリス=ルブラン: ジェリコ公爵 (アルセーヌ・ルパン全集 (19))
    面白かったけど、え?ルパン、出てこなかったけど…え???主人公エラン=ロックは確かにルパンを彷彿とさせる人物だけど、でも別人だよね。「過去をなくした男」エラン=ロックが自分の過去を求め海賊ジェリコを追う…次第に明らかになってくる驚愕の事実…どきどきわくわく面白かったけど、でもルパン出てこなかったよぉ。

  • 高橋 良輔: 装甲騎兵ボトムズ 孤影再び

    高橋 良輔: 装甲騎兵ボトムズ 孤影再び
    なんかキリコ可哀想…。せつないなぁ。30年経って「大人」になってしまったバニラやココナに共感する自分も年を取ったんだな、と思うし、「戦争」をやめられない人間達とか色々考えさせられてしまいます。OVAも見たいなぁ。

  • モーリス=ルブラン: 謎の家 (アルセーヌ・ルパン全集 (18))

    モーリス=ルブラン: 謎の家 (アルセーヌ・ルパン全集 (18))
    まさかのベシュ刑事再登場!相変わらず惚れっぽいルパンが恋敵の若者と丁々発止。最初のルパンによる「まえがき」の内容に苦笑してしまいます。

  • 坂口 安吾: 明治開化  安吾捕物帖 (角川文庫)

    坂口 安吾: 明治開化 安吾捕物帖 (角川文庫)
    アニメ『UN-GO』の原案作品。どういうふうに翻案されているのかアニメと比べながら読むと面白いし、作品自体も独特の雰囲気があって引き込まれます。