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2010年2月22日 (月)

『パイは小さな秘密を運ぶ』/アラン・ブラッドリー

先日紹介した『よいこの君主論』とともに、「息子ちゃんにどうかな?」と思って書店で衝動買いした1冊です。

文庫なのに1000円以上して、「衝動買い」するにはかなり厳しい値段でしたが、相手が「本」になると太っ腹になる私でございます(笑)。しかしホントに高くなりましたね。これじゃあ単行本買うのとたいして変わらない。昔は文庫ならせいぜい500円ぐらいでしたよね? デフレデフレと騒がしいご時世、本の値段は下がらないなぁ。

さて。

なんで「息子ちゃんに」と思ったかというと、「名探偵は11歳」と帯に書いてあったから。息子ちゃんと同い年の女の子が主人公、しかも「化学・毒物大好き少女」と書いてある。

「CWAデビュー・ダガー受賞作」ということでもあるし、お話自体の面白さも期待できる。

うん、なかなか面白かった!

本屋さんで自分の目で選んで手に取った本が「当たり」だと、なんかすごい嬉しいよねー。「私の眼に狂いはない!」(笑)。

息子ちゃんも途中でやめることもなく、一気に読んでたので楽しんでくれたんじゃないかな。

舞台は1950年のイギリス。

化学・毒物大好きの11歳の少女フレーヴィアは、生後まもなく母を亡くし、今は世捨て人のようになっている父と、意地悪な姉2人との4人家族。家には住み込み庭師のドガーに、通いの家政婦マレットさんがいる。

なんとなく、「意地悪な姉2人」とか「お母さんがいない」とかいう家庭状況が、「ありきたりな設定」に思えなくもないんだけど。

そーゆー家庭状況じゃないと「ここまで逞しい11歳」には育たないだろう、という「理屈付け」なのかなぁ。フレーヴィアは11歳とは思えないぐらいしっかりしてて、行動力も抜群。化学好きで頭もよくて、本当に天晴れな少女なんだけど、「幸福な家庭」ではこーゆー子どもは育たないのか?と反論したくなってしまいます。

お父さんが娘達に冷たいというか、「どう接していいかわからないから接しない」になっているのは、当時の「ちょっとした家の当主」ならあたりまえの「在り方」だったのかもしれないけど。

そう、フレーヴィアは「バックショー荘」というかなりでかそうな「お屋敷」に住んでいる。「お屋敷」には大伯父さんが使っていたという立派な「化学実験室」もあって、物語の最後には「検死解剖の際(死後十数時間経っていても)毒物が検出できるかどうか」実際に自分で確かめてもいる。

フレーヴィアの「化学好き」は、あまりうるさくない程度に、それでいて事件の真相に迫るには十分に、うまく活用されている。

途中、父親がフレーヴィアにとうとうと事情を説明する部分は長すぎると思うし、ミステリーとして、「謎解き」として、「一級品」というのではないとも思うのだけど、フレーヴィアの行動力に引き込まれてどんどん頁を繰ってしまう。

終わりの方でフレーヴィアが絶体絶命のピンチに陥った時はほんとドキドキしたし(あの状況でもへこたれないフレーヴィアすごすぎ!)、エンディングはほんわかと、それでいて洒落ててうまい。

それになんか、舞台が1950年ということもあって、「昔懐かしい推理小説」の雰囲気が、なんともいい感じ。

「殺人」はあるけど、どこか牧歌的というか、ぎすぎすしていなくて「安心して読める」っていうのかな。11歳の少女の1人称で、行動は「自転車」。バックショー荘に電話はあるけど「よっぽどの緊急事態の時しか使っちゃダメ」と言われていて、車だってそうそうびゅんびゅん走ってない。ケータイもインターネットもない時代の、しかもちょっと田舎(英国の地名なんてまったくピンと来ないけど、お話の舞台は少なくともロンドンではない)。

なんか「こーゆー“推理小説”、昔よく読んでた。好きだった」って思った。

考えてみれば、『ホームズ』も『ルパン』も、まだ馬車が走ってるような時代のお話だし、私が子どもの頃よく読んでた「少年少女世界文学全集」とか、「世界の推理小説」みたいなシリーズも、生まれるずーっと前が舞台のお話。

雰囲気というか感触というか、物語の「匂い」というか、そーゆーのがなんか、とっても懐かしくてほっこりする作品だった。

読書好きな小学校高学年にも安心してお勧めできます。

息子ちゃんと同じくらいの年だった時、私、図書館の推理小説の棚読みあさってて、「少女探偵ジュディ」とか「少女探偵ナンシー」とかのシリーズもよく読んでたんだよねぇ。


ジュディは高校2年生、ナンシーは高校3年生らしいから(当時小学生の私にとってはずいぶんお姉さんだったんだなぁ。「少女じゃないじゃん!」と突っ込みたいぐらいに(笑))、フレーヴィアの11歳は破格の若さ。

「11歳でこんなことできるわけないだろ!」とつい言いたくなるけど、でも大人が思ってる以上に子どもだって色々考えているし、自分の11歳の頃を思い出すと、気持ち的にはもう「いっぱし」なつもりではあった(笑)。「子どもには無理」というのは大人の勝手な思い込みに過ぎないんだよね。

まぁ、今の日本の11歳はどうかなぁ、ってところはちょっとあるけど。

8歳で働かざるをえない子達とか、11歳・12歳で家族を養ったり、弟妹の面倒を見ている子ども達は世界にはたくさんいる。翻って現代日本の多くの子ども達はやっぱり恵まれていて、その分「しっかりする」機会を失っているような。

で、こんな素敵な11歳のヒロインを生み出したアラン・ブラッドリーさんはなんと70歳! 70歳の男性が11歳の女の子をこんなに生き生きと描き出してくれるなんて(しかも1人称で!)すごい。

デビュー・ダガー賞受賞ということで、これがデビュー作。私にもまだまだチャンスはあるぞ!と思わせてもらえますね(笑)。

この賞、冒頭の三千語とあらすじを応募すればよいらしく、受賞してから最後まで書いたのだそう。まだ最後まで書いてもいないのに賞をもらえるなんて、羨ましすぎます(爆)。

フレーヴィアシリーズは6冊まで構想され、現在2作目が刊行されているようです。創元推理文庫でも邦訳刊行予定とのこと。

フレーヴィアファンクラブなるサイト(英語)が立ち上がっているほど、魅力的な11歳の名探偵。

これからの活躍も楽しみです♪

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『パイは小さな秘密を運ぶ』/アラン・ブラッドリーを参照しているブログ:

コメント

こんにちは♪
我が子と読書傾向が合うって、いいですね。かなりうらやましい(笑)
うちは親子といえど、どうも合わないらしく、最近はこれだけは、と思うもの以外は私も勧めなくなりました。
そして勧めても、その中で読んでくれる本はほんの一握り。
まあ、親子でも個性は別々なので、当然なのかもしれませんね。
それでも、この本と先日のよいこの君主論は面白そうなので、うちのAに勧めてみます。うぷぷ♪


余談ですが。
ポケモンの主人公のサトシは10歳です。
そういう意味ではフレーヴィアちゃんもそう若くもないかもしれません。


自分の10歳当時の気持ちをほとんど思い出せない私は、どんな子供だったか自分では分かりませんが、
魔女の本ばかり読んでたような気がします。魔女っ子からおばあさんまで図書館や図書室の本を手当たり次第に(笑)
でも、残念なことに結局魔女にはなれなかったなぁ(*^^;

そういえば昨日行った小学校の図書ボラで。2年生の女の子に「私、『愛』の本を読みたいの。どれ?」と
聞かれもう一人の図書ボラの方と2人、大変困りました(笑)

「シンデレラは?」「恋じゃない?」「盲導犬とか?」「うーん、ちょっと違うような」「じゃあ動物への愛って事で
ドリトル先生とか?」「いや、それはちょっと逃げてるかも?」「愛っていっても範囲が広いしなあ」
「愛が分かるなら私たちの方が読みたいよねぇ」「というか、あるなら夫に読ませたいかも」「ああ、それは言えるかも!」

こうして何も決められないままチャイム。「あぁ、こうして人は愛に迷うのね!」「あぁ、本当に」
いや、途中から子供達のことなんかすっかり忘れてたなんてこと、ありませんから。えーっと、たぶん(ーー;

>まさ様

こんばんは(*^_^*)
読書傾向、うちもたまにしか合いませんよsweat01
なかなか難しいですね。
押しつけるのもよくないですし、
読んでくれたらラッキー♪ってところですね。

でも川原泉さんとか普通に楽しめる
小学5年生は珍しいかも(笑)。

サトシは10歳だったのですか!
アニメやマンガのキャラクターはみんな
しっかりしてますよね。
「キャプテン翼」の小次郎くんや若林くんは
とても小学生とは思えなかったし(爆)。

小学2年生に「愛の本は?」と訊かれたら…
うーん、何を勧めるだろ???
ってゆーか、その子はどーゆー意味で「愛」って
言ったんでしょうね?
やっぱり「恋バナ」???

「若草物語」とか色んな意味で「愛」が詰まってると
思うけど、ボーイミーツガールではないなぁ。

「あしながおじさん」……どっちも私が小学生の時
好きだったお話、ってだけですねcoldsweats01

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